Audibleで「変な家」を聴く
最近Youtubeで作業用BGMにできるチャンネルを探すことにハマっています。(作業用BGMと言いつつ結局聞き入ってしまって作業を忘れることもしばしば…)映画好きなので聞いているのは大抵が映画レビューor考察系が多いのですが、先日とあるチャンネルで「変な家」の映画を紹介していて、そこで雨穴さんの存在を知りました。
雨穴さんとは
5年ほど前からホラー系Youtubeチャンネルを運営している人物で、その界隈では結構有名な方のようです。本業はホラー作家らしいです。
年齢、性別は一切不明。全身黒づくめに白く無機質な仮面を被ったかなり怪しい風貌とは裏腹に、繊細さと奥ゆかしさを感じさせる声と言葉遣い。投稿している動画は一応ホラー系で、ガッツリ怖い…と言うよりはちょっびり不気味ぐらいな感じで、独特なシュールさや笑えるポイントも結構あったりします。ホラー系とは言え割と万人におすすめできるチャンネルだと思います。(個人的に)
で、現在公開されている映画「変な家」は、そんな雨穴さんが投稿したミステリー動画のひとつ「変な家」を原作としています。
引越しを検討している友人から検討中の物件の間取りについて相談を受ける雨穴さん。その物件の間取りを検証していくうちにある奇妙な点に気づき、そこから不気味な仮説に辿りつく…というストーリーです。
この動画が投稿されたのは2020年10月ですが、その半年後に動画のプロットをさらに加筆した書籍版が発売されました。そして2023年に遂に映画化。
元の動画がとても面白かったので書籍版に興味を持ったのですが、Audible版もあるということで今回はそちらを鑑賞してみました。
以下はAudible版「変な家」の感想になります。(設定のネタバレは多少ありますが、ストーリーの核心に触れるネタバレはしないつもりです。)
感想
結論から言うと、とても面白くおすすめです。原作の動画が好きな方は間違いなく楽しめると思います。
音声の再生時間はトータルで約4時間ほどです。
朗読というか、朗読劇
そもそもAudibleとは、プロのナレーターが書籍を朗読してそれを聞けるというコンテンツで、基本的にナレーターは一人なのですが、この「変な家」は登場人物ごとにそれぞれナレーターが当てられています。
これは「変な家」が登場人物たちの会話によって展開していく会話劇だからかもしれませんね。さながら効果音もBGMもないサウンドドラマのようです。おかげで登場人物たちの会話や話の展開にかなり集中しやすくなっています。
現実(?)では年齢・性別不詳な雨穴さんですが、このAudibleで雨穴さんのパートを担う主人公はさわやかな青年風の声になっています。個人情報保護の観点からか、元の動画では声が加工されていた栗原さんも、Audible版では人当たりの良さそうな男性の声です。
話の広げ方がすごい
第一章のパートは基本的に元の動画と同じです。Audible版ではそこからさらに第二章、第三章、第四章と話が広がっていきます。
第二章から新たに登場する人物によってストーリーは思いもよらぬ展開を辿っていきます。
「間取りが奇妙」というアイディアからよくここまで話を広げられるなと感心しました。話のオチも含めてかなり良質なミステリーサスペンスだと思います。
Audible版でも間取り図はちゃんと付属しています
「変な家」では家の間取り図が重要なキーアイテムとなっていますが、Audible版にも付属資料として間取り図のPDFデータがちゃんとついています。(家の間取りを言葉だけで説明するのはやっぱ難しいですからね)
ちょっと気になったところ
終盤になると登場人物たちの人間関係がかなり入り組んでくるので、その辺がわかり辛く感じる人もいるかもしれません。推理ものなどによくある、人物相関図みたいなものもPDFデータであればより良かったかもしれませんね。
最後に
Audibleの作品を鑑賞するのは実は初めてだったのですが、なかなか楽しめました。
雨穴さんの書籍は「変な絵」、「変な家2」もAudible版が発表されているようなので、そのうちそちらも鑑賞してみたいと思っています。
余談
現在公開されている映画版にも一応興味はあるんですが、聞くところによると書籍版とはかなり別物のホラー作品となっていてファンからは賛否分かれているとのこと、なので見にいくか思案中です。
原作者の雨穴さんも映画版の宣伝を一切していないらしく、察するに意に沿わない映像化だった…のかも知れませんね。真相は分かりませんが…